勝てない人ができていないこと。それはズバリ論理的思考です。
いわゆる『ロジカルシンキング』と言われるものですね。
ロジカルとは、「論理的な」「筋の通った」という意味で、 論理的思考とは、物事を体系的に整理し、矛盾や飛躍のない筋道を立てる思考法です。
対義語は直感的、感情的、非論理的などです。
名前的に堅苦しいし、毛嫌いする方もいるかもしれませんが、
要するに行動、事象などの結果をなぜこの結果になったのか。
その要因をまた解体して、要因の原因を探っていく思考方法になります。
身近な具体例で考えましょう!
例)
あなたがダイエット中だと仮定します。
5kgの減量を目指した3ヶ月ダイエットに励み、結果2kgしか減らなかったとしましょう。
考えられる要因として
ファストフードを食べないと決めていたのに、週1回は食べてしまっていた。
次はなぜファストフードを食べてしまったのかです。
・食事制限をする中でどうしても食べたい日に我慢できない。
・帰り道にマクドナルドを通るため、寄ってしまう。
分析をすると、要因となる2つの心理、行動が浮かび上がってきました。
ではまたこの要因の要因を紐解いていくと、
・過度な食事制限で栄養不足(特にミネラル)になっている。
これが原因です。
このように結果と要因を分けて、体系化させていくことが論理的思考のやり方です。
ではこの根本的な原因の解決策を出していきます。
・食事はバランスを重視し、しっかり適量を食べる。
・食事制限ではなく運動重視にする。
解決策をどう実行に移すかの具体例
・ミネラル補給のため海藻類を食事に1品追加
・バランスを取れた食事提供サービスを利用する
・ジョギングを週3回する
これが最後のミッションです。
ではこの行動計画を自分の性格上実現できそうかを考え、自分でもできるように課題を設定します。
・海藻類の追加と食事サービスはできるとして、ジョギングをおそらくサボってしまうだろうと思った。
⇨ジョギングは苦手な性格⇨ハードルを下げることで実現させる。
⇨1日300mだけジョグをする(自宅から近くのスーパーまで)
もしくはスーパーの買い物まで車ではなく歩く
今回は科学的根拠がないものでしたが、大まかなフレームとしての論理的思考とはこのようなもので、この思考を体系化させてものが下の図です。

この図はとても簡単に書いたものですが、事象に対してwhy?why?なぜと徹底的に掘り下げて行くことは本当に重要です。
そこで出てきた要因に対してhow 対策を2段階(手段と自分への最適化)で形成することが重要だと私は考えています。
この最適化をするに当たって自己分析をして自分の性格・性質に合ったルールづくりをしていくのです。
どうでしょうか?なんとなく大まかなイメージはできましたでしょうか。
では、少し時間を取りますのでこれらをご自分のFXに落とし込んでみてください。
お題は「直近のエントリーをなぜしたのか」についてです。
自分で深掘りできたら下にスクロールしてください↓
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どうでしたか?
僭越ながら、私はみなさんが勝てていない前提でお話させていただくのですが、
おそらく、
「なんとなく上がりそうだった」
「落ちる形だったから」
「三尊形成したから」
みたいな根拠のないところに落ち着くのではないでしょうか。
例えば、『なぜショートした?』
⇨上昇トレンドラインを割ったからショートした
⇨なぜトレンドラインを割ったら落ちると予測できるの?
⇨トレンドが崩れるから
⇨トレンドが崩れる根拠ってある?
⇨①トレンドライン割ったから②有名なトレーダーが言ってた
③ネットで書いてた④なんとなくそんな気がする
画像でなんとなくというこのを入れる
勝ててないみなさんが辿り着くのは①みたいに同じ答えに戻ってくるパターンや②、③みたいにじゃあネットが正しい根拠は?そのトレーダーが本物の根拠は?
みたいなツッコミどころ満載の終着点じゃないかなと思います。
ある程度根拠ができている人でも
「水平線、ロウソク足など複数の根拠が重なっていたから」くらいかなと。
じゃあ、その根拠が重なっているときトレンドに巡行する確率はどれくらいでどれくらいの値幅が期待できて、損切りの幅の根拠は?
とツッコミを入れれば答えられないと思います。
勝てないのはメンタルのせいとよく言いますが、本当の勝てない理由は
ここで答えられない点にあります。
では、なぜ答えられないのか。それは検証を自分でしていないからです。
検証をしていた場合、答えとしては1時間足のトレンドラインを割った時に50pips以上下落するのが約60%で前回上値を損切りラインにすればリスクリワード2以上取れるため、期待値プラスだからエントリーしたみたいな答えになります。(ただこれだけでは不完全)
しかし前回よりも根拠としてはありますよね。
自分で検証してなければこの回答になりません。
なので、論理的思考と検証どっちかすれば勝てるというわけではなく、
検証をしなければ論理的思考で深掘りできないので表裏一体の存在なわけです。
この作業をとことんまで突き詰めればFXで損益がマイナスになることはほとんどないでしょう。あるとすれば相場環境の変化で検証時と現在の検証結果が変わった時です。
勝てない人はこの作業を面倒でやらないか固定観念の中で思考が固まっているかのどちらかです。自信を持って言い切れます。
では続いて『検証の仕方』になります。
検証のやり方
まずはチャートを見ていて手法の仮説を立てるフェーズです。
チャートを毎日見る中で、何かしらの気づきはあると思います。
例えば、下のようなチャートがあったとします。

なんか体感的に1時間足で大きな下落が3回あった時4回目の下落は起こらず反転することが多いなという気づきがあったとします。
ここで自分の水平線が使えるのか、値幅観測が使えるのかの検証を行うのです。

反転している時は3回目の下落が前回下落の値幅よりも少ない時に大きく相場が反転しているパターンが45回/100回中あった。

反転している時、下降平行チャネルを抜けているパターンに気づく。
チャネル抜け・値幅の減少ともにしている時の反転確率は
30回/60回であった。
50%の勝率を期待できるからこの手法で決めようとなるわけです。
根拠はこのように積み上げます。
この手法の根拠が固まれば、次はエントリー方法を決めるフェーズです。
エントリーの判断方法

どうやってエントリーしようと考えた時に紫色の水平線に着目したとしましょう。
検証結果として安値、高値の水平線が近くにある時に反転していることが多い。
ここではくどいので確率は出しませんが、ここでも確率の検証はしておくことをお勧めします。
ただ、水平線タッチで逆張りエントリーするのは、本当に反転するのか怪しいし、
本当にこの水平線が機能するのか、節目になるのかわかりませんよね。
水平線タッチだけではエントリーの再現性に欠ける。
ここからはエントリーの再現性を高めるフェーズです。
根拠の積み重ねの次にここが重要になります。
再現性を高める方法

1時間足でレンジを作った後、ダウ理論で見て直近の戻りを超えた。
ここならエントリーしやすいです。
水平線にタッチしてV字上昇するパターンもあるが、自分がエントリーしやすいのはどの形かということを把握しておくことが重要です。
この自分が判断しやすいパターンを見つけておくことがトレードの再現性に結びつきます。

このエントリー方法であればリスクリワード2以上は取れるなとか、
RR5は取れるな。けど5取れるのは50%くらいだから、途中の水平線で半分利確して、残り半分は建値に損切りラインを移動させて伸ばそう。
みたいに根拠をもとに利益を取るための戦略を立てることができるのです。
で、最後に手法を自分に最適化させます。
手法を自分の物にするために
例えば、水平線にタッチする前に反転する仕草を市場が見せたとき、焦ってエントリーしてしまう。それで損切りしてしまうことが多いと自己分析で導いたとして、
自分のルールとして水平線に触れる前のエントリーはしない。
必ずダウ理論の要領で直近高値を超えた後、RR2以上であればエントリーする。
この2つのルール化をすることで、自分への最適化と利益の追求に繋がります。
なんとなく、理解していただけたでしょうか?
重要なキーワードは
定量的根拠、再現性です。
ちゃんと数値的(定量的)な根拠をもとに手法を固めて行くこと。
それはちゃんと再現性があるものなのか、再現性を高めるために自分の中で決まったパターンを持っておく。それを言語化できるようにしておくことがトレード上達への第一歩であり、本質であります。
上で出した例は、あくまで例です。根拠については全くありませんので、参考にしないでください。みなさんのイメージする手助けとして出しただけなので、しっかりご自分で検証してみてくださいね(^^)
ここからは少し、具体的なというか私なりにトレードする上で大事にしてほしいことが何個かあるので、書いていきます。
ただ、上に書いたことを噛み砕くだけで精一杯の方が多いと思いますので、
今日読まなくても、大丈夫です。
私からは後日手法とかがある程度固まりそうな段階で読んでもらう方がベストかなと思います!
何をこれから説明するかというと、6項目あって
①FXはゼロサムゲーム
②背があるという考え方
③エントリー・イグジットの時間軸を合わせる
④ファンダメンタルズ(メインファンダと単発ファンダについて)
⑤資金の流入先を考える
①、②、③がエントリーや損切りに関わる部分
④、⑤、が銘柄の方向性についてです。
④〜は少し込み入った話になるので、
頭の片隅に置いておく程度で考えてもらえればと思います。
①ゼロサムゲームという考え方
みなさんはゼロサムゲームという言葉をご存知でしょうか。
これはトレードの本質的な部分で、これを理解してるか、していないかで戦い方は大きく変わってきます。
ゼロサムゲームとは、複数の参加者が存在する中で、それぞれの得点と失点の総和(=サム)が、常にゼロであるというゲームのことをいいます。「ゲーム理論」と呼ばれる経済理論の一種です。
要するに、「合計するとゼロになる」という意味をあらわす言葉です。言い換えると、一方の利益が、他方の損失になること。プラスマイナスゼロ、と同じ概念である、と考えるとわかりやすいでしょう。
例を挙げるとすれば、参加者が二人いたとして、プレイヤー1が現在+100点であるならばプレイヤー2は-100点という状況が挙げられます。
この理論を知って、何を理解してほしいかというと
市場参加者がみんなリスクを持ち出している中で、誰がより大きく儲けを出せるかというゲームをやっているという市場原理とこの原理があるからこそ、みんな誰かを出し抜きたいと思ってポジションを取っていることを理解してください。
出し抜くというのは他の参加者に損切りを出させるということ。他の参加者が損切りを出した後に儲けた人は利益を確定させることです。
相場はただの数値の上下ではなく、向こう側には人がいて、その人たちはどういったことを考えているのかを推察することが重要です。
私も2年くらい勝てずにFXを齧っていましたが、これを深く思考するとで勝てるようになったと言っても過言ではありません。
ここまでゼロサムについて少し書きましたが、ここで少し具体例を出します。
みなさんにも分かりやすいように、ネットでよく出てくるチャートパターンで説明します。



このように、全ての値動きには
新規のロング・ショート、ロング・ショートの利確・損切りの攻防が見えます。
もちろん、見えない時もあって

三角保ち合いはこの後大きなトレンドができる前兆とよく言いますが、
これはポジションが少ない=市場に投入されているお金が少ない
⇨少ないお金で相場を動かしやすい。
ある程度のお金を入れれば、相場に方向性がでて、それに伴って損切りを巻き込むことで大きなトレンドに繋がります。
今見てもらった2例とも分かりやすかったと思いますが、
このように値動きの攻防を見ることで、どのポジションが今損しているのか、
どのポジションを損させようとしているのかが見えてきます。
攻防の中で、どちらが強者なのかを見極め、そちらについていく。
長いモノには巻かれろ精神で相場に向き合いましょう!
※全ての値動きをこのように言語化しなくてもいいと思っています。
このように言語化できる値動きを3個くらい見つけてそれにあった手法作りをしていきましょう!
逆に全ての値動きを狙ってしまうと、パターンに当てはめて相場を見てしまうので、全ての箇所で利益が取れそうだと感じてしまいます。
ここが大きな落とし穴なので、弱いものは一部の分野に特化して強者に勝つこと。
②背があるという考え方
これは非常に重要な考え方で、
要は水平線がある所でトレードをしろということです。

相場は基本的に以前できた水平線、新しくできた水平線という節目で
大きく動きます。
我々弱者の戦い方はこういう分かりやすいところでトレードすることです。

青丸でトレードすれば抜けなくても抜けてもトレードしやすいはずです。

それをこういった黄色のところでわざわざトレードするから難しく感じるのです。
利益を出したいがあまりに、ポイントを待てなくて勝てない人がそうですよね。
あくまで自分の都合に合わせて市場から儲けようとするのではなく、
市場。相場が簡単な時に私たちがしれっとお小遣いを抜かせてもらっているという認識が重要かもしれません。
イメージとしては家でスーパーボールを床に投げつけたとして

床で跳ねて天井でまた跳ねてまた床に打ち付けられる。
この時床と天井は明確な水平線です。
我々はこういう分かりやすいところだけをとっていけばいいのです。

相場に活かすとすればこの水平線を明確に超えたら根拠が崩れるから損切りという分かりやすいラインがあるときにトレードしようということです。
上の絵でいえば、床が破られなければ方向性は上ですよね。
しかし、床が抜けてしまった。
ここで、床が抜けないから上という根拠が崩れたわけです。
背をもて=明確な損切りラインをもて。です。
次は実際の相場をもとに解説します。
case1
4H足の三尊天井というパターンでトレードしていたとして、
右肩の部分で15m足の短期がダウ理論で安値を切り下げた時ショートをした。
しかし、少し下落した後上昇に転じた。
根拠となる損切りラインを設定していなかったために、ダブルトップで下落することを願って直近の高値まで待ってしまった。
⇨結果として損切り幅が大きくなってしまい、リスクリワードが1:1程度になってしまった。
case2
同じく4H足の三尊天井でトレードしていて左肩の高値と同じ価格でショートをした。損切り幅は目標pipsと照らし合わせて、20pipsに設定した。
ショートしたもののトレンド転換はせずに損切りにかかってしまった。
その後4H足で髭をつけて、大きなトレンド転換になったが、結果的にそのトレンド転換に乗れなかった。
case1改善
15m足の安値切り上げがエントリー条件である以上、その15m足のトレンドが崩れた際に根拠がなくなる。結果としてダブルトップの下落で利益が出たとしても、それはなんとなくのエントリーで再現性は全くありません。
⇨15m足高値を切り上げた時点で損切り
そうすることでリスクリワード比率の大きいトレードの積み重ねになり、総合的に期待値は高くなります。
case2
ここは明確な根拠に基づく損切りラインの設定をできていませんでした。
あくまでこの20pipsの損切りラインは自己都合によるものです。
⇨下位足でcase1のように切り下げた時にトレードを行うか、三尊天井のトップを損切りラインとして設定するかで改善できます。
③エントリーとイグジットの時間軸を合わせる。
これはエントリーに使った根拠の時間足と利確を判断する時間足を合わせるということです。
4時間足の根拠でエントリーしたとして、15分足の根拠で利確をする。
15分足の根拠でエントリーしたのに、4時間足的に伸びそうだから放置する。
特に後者のパターンが良くないです。
あくまで15分足の根拠でエントリーしたのであればその時間軸、それか下位足の動きで利確・損切りを判断しましょう。
イグジットを上位足で判断してしまうと、そのエントリーは根拠を持たないものになってしまいます。
もともとエントリー時に利確幅も決めてからエントリーしていると思うので、基本はその幅を守るようにした方が良いです。
感覚的に自分のイメージと違うなと思い、危ないと思ったらすぐに逃げるトレーダーもいます。
しかし、感覚的に利益を伸ばそうと思うトレーダーはいません。
みなさんはああくまでも市場では弱者ですので、常に根拠に基づいた行動をとるようにしましょう。
④ファンダメンタルズについて(メインファンダと単発ファンダ)
初心者の方は特にファンダメンタルズを軽視している傾向にあって、
テクニカルな部分に目を向ける方が多いように感じます。
やはり小難しい印象もあるんですかね。
ただ、私が見たことがある勝ち続けているトレーダーでファンダメンタルズを無視している人はいません。みんな割合は違えど、必ず考慮しています。
まずファンダからトレーダーが何を得ているかです。
それは市場の中期、長期的な方向性です。
短期の動きであればテクニカルの部分だけで判断することができますが、
長期的な方向性についてはファンダでしか判断することはできません。
ファンダにはメインファンダと単発ファンダという2つがありますが、
方向性を判断する際に重要なことはメインファンダを理解することです。
単発ファンダは相場の一時的なノイズや嵌め込みに過ぎません。
2020年
コロナ時の金融緩和による過剰流動性相場やマイナス金利です。
金融緩和によるドルの過剰供給によってゴールドや指数は急騰しましたし、
ドル円は下降トレンドの形成をしました。
2022年
アメリカが政策金利の利上げに踏み切り、日本が利上げを行わないことで
ドルと円の間で需要が偏りUSDJPYは110円台から150円まで円安方向に動きました。
日銀の相場介入は何度かありましたが、それでも一方的な上昇トレンドでした。
この政策金利の仕組みを知っておけばUSDJPYではショートを取る選択肢はなかったと思います。
このように政策金利のようなメインファンダを理解することは非常に重要です。
単発ファンダ
指標やヘッドライン、要人発言などが単発ファンダとして捉えることができますが、近年こういった類のものは嵌め込みの要素が強くなってきています。
内容に反した方向に大きく動いたり、slを狩るような動きが多いです。
メインファンダ
・政策金利
・金融緩和策
・各国情勢
このあたりを重点的に抑えておけば、方向性を間違うことはないと思いますし、
最悪政策金利だけでも理解しておけば、今どちらの方に値が動きやすいのかを判断できると思いますので、まずは政策金利の理解から始めましょう!
⑤資金の流入先を考える。
ただ、これってFXや投資の世界では
ファンダ面の考え方で一番大事なもの
かなと私自身は考えています。
マネーフローはお金の流れです。
世界経済の中で重要視すべきマネーフローは
・指数(日経225、ダウUS30、ナスダック)
・国債(主に米短期国債)
・貴金属(ゴールド)
・通貨(ドル、円、ユーロ、ポンドがメイン。
・次点でオージー、カナダドル、スイスフラン)
通貨に関してはメインペアを見ることが好ましい。
おまけで仮想通貨(ビットコイン・イーサリアム)
その他のアルトコインについては無視。
この中でどこに投資家、ファンドの資金が
流れるかを見なければなりません。
【どこにお金を置けば儲かるのか。】
⇨通常時は金利の高いところに資金は流れる。
(投資資金の余剰のため)
世界経済が不安定なら一番リスクが少ないところ。
またはインフレリスクヘッジができるところ。
(インフレヘッジをするのは経済不況による金融緩和の懸念があるため。)
投資家が今何を大事にしているかが重要で、
できるだけリスクを減らしたいのか。
リスクをとって資金を増やしたいのか。
判断しやすいのは各国の政策金利です。
やはり特に注視すべきは米政策金利。
政策金利とは
政策金利とは、日本銀行など各国の中央銀行が
金融政策において使用する短期金利のことです。
政策金利は物価の安定や金融政策上の目的を達成するために変動するものです。
この政策金利が我々に影響を及ぼす
流れは以下の通りです。
中央銀行⇨金融機関
政策金利は金融機関が中央銀行からお金を
借りる際に発生する金利です。
金融機関⇨一般市民
政策金利に影響され、一般市民への融資に
かかる金利も変動します。
この流れからわかるように中央銀行からの
金利が変動すれば、同じように金融機関から
市民への金利設定も変動するようになっています。
流れがわかったところで、
この政策金利がどのようにマネーフローへ
影響するのかを説明させていただきます。
金利が下がればお金は借りやすくなります。
結果として社会にお金が回りやすくなるため、
通貨の価値は相対的に下がります。
反対に金利が上がれば、借りにくくなります。
お金が回らないと通貨の相対的に価値は上がる。
投資資金にあてる資金にも限りが出てくるため、
余剰資金を入れていた株価などからは資金が抜かれやすくなります。
マネーフローを判断する上でよく使われる
キーワードがリスクオフとリスクオンです。
リスクオンの状態というのは、
投資家がリスクを取りに行ける状態ということ。
⇨将来的に景気が上向くと予想される時で、
リスクがあってもそれを上回る期待がある状態です。
この時に資金が流れやすいのは
リターンの大きい株式または新興国市場。
リスクオフは新興国や株式でリターンが期待できない状態。
というよりはリスクを取る余力がない状態です。
端的に言えば、リターンよりもリスクが上回っている時
のことで景気が下降傾向にあり、
損失リスクを抑えようという心理が働きます。
そういった状況では損失リスクの低い債券などが好まれ、
資金は国債に流れやすくなります。
リスクオフは他の場面でも見ることができます。
それは有事の場面です。
有事というのは軍事用語で、
国家や企業の危機管理において武力衝突やテロ、
大規模な自然災害などの非常事態を指す概念です。
近年で言えば、2020年2月にあったコロナでのリスクオフ。
コロナでの経済的打撃はもちろんのこと
それ以前から米中間で貿易摩擦が生じており、
コロナでの更なる関係悪化や経済活動の停滞から
相場は一気にリスクオフに傾きました。
この時ドル円は112円台から101円台に突入し、
3週間で10円以上値を下げる大相場となっています。
2020年3月にはイランにおいて米軍が駐留する基地に
ロケット弾が撃ち込まれ、米国人2名、英国人1名が
死亡し戦争の一歩手前まで行きました。
この時は有事の動きになり、
ゴールドの価格が急激に上昇する流れになりました。
あれ、リスクオフはゴールドではなく国債でしょ?
不況によるリスクオフならそうなんです。
ただし、有事では状況が異なるのです。
有事の時ゴールドが上昇するのには理由があります。
有事では空爆による現金の消失リスクが伴います。
現金はおおむね紙幣ですから、
火災などで消失する可能性があるんです。
金であれば燃えてなくなるということはなく、
価値も下がりにくいので、現金の代用としての信頼性も高い。
それによって現金からの資金移動をさせる人が増えました。
(金の信用度が高い理由は、見栄えが良いこと、希少性が高く偽造が困難なこと、科学的に安定していて劣化しにくいことから古来から世界各国の貨幣の材料として使用されてきた歴史があるためです。)
銀行にお金を預ければいいんじゃないと考える人もいますが
銀行自体が空爆によるダメージを受ける、
預金証明書の焼失、
そもそも銀行が存続するという保証はどこにもありません。
考慮すると金へ資金移動させるのは最善の策ということがわかります。
一概にリスクオフだとこうなる。と言えないのは
さまざまな要因が複雑に絡まっているからです。
ドル円が10円以上下げた場面も同じですね。
リスクオフであれば通常通貨の価値は高まりますが、
経済不況による金融緩和でドルの価値が下がる。
米中の対立から円やユーロの需要が高まった。
などその時々の状況から判断せざるを得ません。
ただ、日頃から情報を仕入れ思考することで
この資金の流れは把握できるようになってきます。
こんな感じで毎朝じゃなくてもいいけど、
資金の流入先を考えてみると相場は理解しやすいです。
ただ、最近は相場環境コロコロ変わるし、
複雑になっているので副要素的な感じでいいと思います。
そこの情報で戦いたいならいいと思うけど、
取り入れることによって思考が複雑化してバイアスが
かかる可能性があることも考慮しないといけないので、
注意が必要です。
相場は常にリスクオンとリスクオフに
二極化しているわけではありません。
トレンド2割、レンジ8割という言葉があるように、
その中間にあるときがほとんどなので
その際投資家はバランスよく投資しています。
そういった状況で相場に過度偏りが出れば
逆方向の目線を持ってみても良いでしょう!
いろんな通貨を見まくって特徴がわからなくなっている場合は
上記で挙げた金融商品を見て、資金の流入先など考えて見ると◎です。